フラれては恋をしてを繰り返し、100万回も恋をしたbaliwがいました。
baliwにはいつも恋人がいました・・・その数100万人。
皆、恋が終わるとワンワンと嘆き悲しみましたが、baliw自身は一度も泣いたことがありませんでした。
baliwは誰のものでもありませんでした。
baliwはbaliwだったのです。
baliwは自分が大好きでした。
どんな女性もbaliwの彼女になりたがりました。
プレゼントする女性もいました。
baliwは言いました。
「俺は100万回も恋したんだぜ。いまさらおっかしくて!」
baliwは誰よりも自分が好きだったのです。
ところが、このbaliwに見向きもしないものがいました。
それは美しい女性でした。
baliwは腹を立てました。
そして毎日毎日、女性に「俺はすごいんだぜ、なんてったって100万回も恋をしてきたんだから」と、自慢話をしに行きました。
女性は気のない相づちを打つばかりでした。今日もbaliwは「俺はすごいんだぜ」と言いかけて、途中でやめました。
そして「そばにいてもいいかい?」と尋ねました。女性は「ええ」とだけ言いました。
2人は常に寄り添うようになり、一緒にいることがなによりも大切に感じるようになりました。
それからたくさんの思い出を作り、baliwはもう得意の台詞、「俺はすごいんだぜ」を言わなくなりました。
いつのまにか自分よりも、その女性と女性の幸せのことを大切に思うようになっていました。
やがて何十年と月日は流れ、女性は少しお婆さんになりました。
baliwは、女性と一緒にいつまでも生きていたいと思いました。
ある日、女性はbaliwの隣で、静かに動かなくなっていました。
baliwは女性の亡骸を抱いて、生まれて初めて泣きました。
100万回泣きました。そしてぴたりと泣きやみました。
baliwは、女性の隣で静かに動かなくなっていました。
それからbaliwは、もう決して生き返りませんでした。
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