今日、昼過ぎに一本のワン切り電話が入る。履歴を見ると「クリスティーヌ」…。何で今頃…と思う。
僕とクリスティーヌの出会いは今年の一月までさかのぼる。
僕がPPの洗礼を受けてからまだ間もない時。僕らは出会った。その時にはジョセルに一目惚れしてインラブでしたが、僕のPPの師匠カルボさんが他の店も経験しとけということで連れて行ってくれたのが自宅から5分のPP。サードタイマーとして間もないクリスティーヌに会いました。
ひと際陽気で笑顔が遠藤久美子に似ているフィリピーナ。家から近いということも有り、店には通わずにクリスティーヌの仕事終わりに遊びに行く関係でした。アンフェアになるのでクリスティーヌには僕はジョセルが好きだということは伝えてありました。それでも遊びに行くときには古くからの友達の様に遊んでいました。
僕が通っていたお店の順で言えば、ジョセル、ジェーン、クリスティーヌで一番行くのは少なかったのですが夜中に抜け出せるのがクリスティーヌだけだったのでプライベートを一番過ごせたフィリピーナでした。またビザが切れジェーン、ジョセルと帰国し最後に残ったのがクリスティーヌでした。必然的にクリスティーヌのお店にも行くようになり親密度を高めていたと思います。その頃自分の中にクリスティーヌの存在が徐々に大きくなって行きました。
そして7月の終わりにクリスティーヌも帰る時がやってきました。サヨナラパーティの為にお店に向かうと店内はクリスティーヌの常連さんでごった返し当然一時間に10分もテーブルには来ない状態。そこで見たクリスティーヌは白いドレスをまとい、褐色の肌とのコントラストが美しかったのを覚えています。山口百恵の「さよならの向こう側」が終わり常連さんを一人ずつ送り出してゆくクリスティーヌ。最後に送り出されたのが僕でした。そして誰もいない出口で初めてクリスティーヌとキスしたのを覚えています。
「またね…、元気で」
それから間もなくクリスティーヌからの電話。フライトまで時間あるからという内容。最後のドライブに海に行きました。今まで二人が遊んだ話、帰国してからの話、客とタレントではなく男と女でした。誰もいない突堤で朝焼けが射すなか、最後の長いキスをしました。
クリスティーヌ:私はアナタのこと好き。
僕:俺はクリスティーヌのこと好き。でもジョセルが一番好きなんさ。ごめん…
クリスティーヌ:知ってる。でも私はアナタがセパレートするまでずっと待ってる。
そうしてクリスティーヌは帰国しました。
が、数ヶ月経ち、僕はジョセルと正式に婚約しました。クリスティーヌにちゃんと伝えようと思い電話をすると
クリスティーヌ:ホントのこと話す。私結婚したよ。
僕:いつ?
クリスティーヌ:ピリピン帰ってすぐに。ボーイフレンドいた。アナタのこと好きだけど今の旦那さん一番好き。
お互いよく似た感じやね、これから別々の道を歩むことになるけど頑張ろうね。と言ってクリスティーヌとの物語は完結しました。いつか自分の子供が出来て年頃になった時に聞かせやろうと思ってました。
何で今更…。クリスティーヌに久しぶりに電話をかける。
僕:久しぶり。元気なの?
クリスティーヌ:元気ないよ。私、旦那さんとセパレートしたよ。
僕:いつ?
クリスティーヌ:三週間くらい前。
僕:一つ聞くけど俺の事好き?
クリスティーヌ:オオ、当たり前ディバ。だから電話したよ。また電話するね、ラビュー!
僕:……ラビュ…ウ
電話は終わった。薄汚い名古屋の空を見上げふと呟いた。
「アノ バヤン」
※アノ バヤン(ano ba iyan)⇒何それ
2000 BEST 山口百恵 ベスト・コレクション
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