みかさの山に いでし月かも

ふと忘れていた事を思い出したのでその事の話を一つ。

リンク貼らせて頂いている「■エレフィーと懲りないPP仲間達■」のelefeeさんの記事を読んですっかり忘れていた事を思い出しました。

ちょうど一年前の話です。当時僕はジョセルというフィリピーナの事を心から愛していました。一年前はそのジョセルのサヨナラパーティの日でした。

彼女がフィリピンに帰る一週間前から毎日お店に通いました。そしてサヨナラの日は最初から最後までお店にいました。少しでもジョセルと時間を過ごしたかったという気持ちだけです。
僕は人目をはばからず一人泣いていました。当日僕は泣いて言葉にならないだろうと思い手紙を書きました。今までジョセルには何度も何度もラブレターを書いていましたが最後のラブレターでした。いつも辞書使って英文のラブレターを作成してました。

「ジョセルへ。
今日でアナタと私が会うのは一旦は最後になります。(中略)アナタがフィリピンに帰って、もし僕の事を思い出す事があるのならその日の夜に月を見てください。僕はあなたを思って毎晩月を見ます」

てな事を書きました。ロマンチストというかかなり自分に酔ってますね。
こう考えたのは奈良時代の阿倍仲麻呂の

あまの原 ふりさけ見れば かすがなる みかさの山に いでし月かも

という詩が好きだったからです。背景として何度も帰国を試みる阿倍仲麻呂。しかし暴風雨等のアクシデントで帰国できない。唐から故郷日本を思い詠った詩です。

そしてジョセルは帰国しました。帰国してからジョセルの事ばかり考えてて一週間くらいメシが食えなかったですね。
そして夜になれば一人で海まで行って月を見ながらジョセルを思っていました。ジョセルはこの月を見ているのかな?この海の向こうにはジョセルのいるフィリピンがあるんだ。
そう思って泣いてました。

そして数週間後会社を休んでフィリピンまでジョセルに会いに行きました。初めての海外旅行、英語も解らないのに早朝の国内線で一人でパナイ島のロハスまで行った事は今でももの凄くジョセルの事を愛していたんだと思います。

空港と呼べないような空港の向こう側、出迎える人が溢れる中に白い歯を見せて笑ってるジョセルを見かけた時、僕は金網まで走りました。映画のように金網越しに手を握り、また泣きそうになりながら再会の嬉しさで言葉が出ませんでした。
baliw:元気か?
ジョセル:元気です。イカウは?
baliw:元気だよ。よかった。
久しぶりに直接交わした会話でした。

その日の夜、ジョセルと彼女の家の近くを散歩しました。手をつないで何処へ行くともなく歩いていました。
baliw:なぁ、ジョセル。
ジョセル:…何?ハニー。
baliw:今日の月は一番綺麗やね。

ジョセルは優しく微笑んでいました。

ジョセルとはもう会うことも有りませんがいつまで経っても二人で月を見た思い出は僕の中で行き続けていくと思います。

思い出させてくれたelefeeさんに感謝します。

コメント

  1. 誰しも一つや二つ忘れられない思い出がありますよね。
    そんな私も昨年、渡比した際に空港で早い時間から待っていてくれた彼女、私を彼女が見つけて呼んでくれた時に見た彼女の笑顔が心に焼き付いています。不安で一杯でしたが、彼女の笑顔で全て吹き飛びました。
    私にとっては忘れられない記念日となっています。

  2. elefeeさん、こんばんは。
    コメント頂きありがとうございます。
    elefeeさんの記事でホントに清々しいというか懐かしい気持ちになれました。
    elefeeさんが彼女と忘れられない素敵な思い出を重ねていけることを願っています。

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