「アナタの事好きになった」
「ハァ?」
フィリピンパブでお世辞は沢山言われた事は有ったが、まさか告白されるなんて…。正直、面食らった。
「だって今会ったばかりでしょう?」
「そんなの関係ないだわさ!アコ恥ずかしいナマン。」
また扇子開いてチラチラこっちを見てる…。何なんだ?照れるフィリピーナはカワイイと改めて思った。
でもその日本語の接尾語は何とかならないのか?キン肉マンの『イワオ』を思い出した。
「イカウ、いつ日本に帰るですか?」
「30日だね」
「またマニラに戻るするでしょう?会う出来るか?」
「うん…。まあ…。出来るけどね。でも俺はガールフレンドに会いにフィリピンに来たんだよ」
「じゃあ、ヤメルするですか?」
はっきり言って指名したフィリピーナからデートに誘われて気分が悪い訳が無い。空港の乗り継ぎは3時間以上あるし、スケベ心が出たのもある。
でもそういやウェンデルが最終日空港まで来てくれるって言ってたし、行きの飛行機で親切にしてくれたシマキが最終日会いたいって言ってたな…。
既にダブルブッキングだ…。どうしようか?
「いいよ。ライラ、番号教えてよ」
最終日は誰かとは会うだろう。当日までには決めればいいか…。
ライラはお店の名刺に携帯番号とヤフーメッセンジャーのIDを書いた後に何かタガログ語で文章を書いてる。
「ねぇ、何て書いてあるの?」
「ヒンディ キタ マカカリムータン」
「意味は」
「アナタの事忘れない」
そりゃそうやわな。二度と会わないかも知れないし。嘘でも嬉しかった。
「イカウ、お店から帰るまでに覚えるしなさい」
「ヒンディ キタ……、ねぇ、何だったっけ?読めないよ」
「イカウは英語は少し出来るだけどタガログはダメな。ハハハ!」
「そうだね。初めてだからね」
結局お店出るまで徹底的に教え込まれた。
ロハス行きの飛行機は早い。一度ホテルで支度しないといけない。
チェックして帰る事にした。やはり安い。日本でならいくらになってたんだ…。
「ライラ!帰るよ。また会えるといいね。」
「教えたタガログは?」
「ヒンディ キタ マカカリムータン」
ライラは満足そうだった。
「アコ、マニラで待ってますな」
タクシーに乗る前に軽くハグしてタクシーに乗り込んだ。
ライラを見ていたがずっと手を振っていたように見えた。
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