指名した褐色のライラが僕の隣に着席した。
よく考えるとフィリピンパブには何回か行ってるけどいつも隣の席に座ったフィリピーナを次回も継続して指名していた。初めて自身で指名したフィリピーナだった。
「アナタ、名前は」
「カイセイです。」
「フィリピンは初めてですか?」
「そうだよ。今日、フィリピンに初めて来たんだ」
「ツアーですか?」
「違うよ。一人で来たんだ。初めてのオーバー・シーズだよ」
「海外旅行」という英語が解らなかったから「オーバー・シーズ(over seas)」と適当に言った。意味は通じたみたいだった。
「何でフィリピンなの?ハワイとかじゃないの」
「うん。明日ロハスに一人で行くんだよ。僕の好きな彼女が居るんだ。彼女と結婚したいから」
それからライラが日本語が上手だったから日本に行った時の事を聞いてみた。俗に言うセkンド・タイマーだった。岐阜と東京に行ったことがあるらしい。今はまだ3回目のビザ待ちだと言う。1年は待っているらしい。
「大変だね。田舎は何処なの?」
「パンガシナンです」
全然わからない。どこなんだろ?難しい顔をしていると
「ねえ、カラオケ歌ってよ」
とライラが言った。
「俺、上手じゃないよ。」
「いい!関係ないの!『I love you』お願いしますな」
変な日本語…。しかも尾崎豊は聞かないし。でもまあ、いいかと思いつつお願いした。
するとライラは僕の手を引き中央のステージに引っ張っていった。日本のフィリピンパブでは無いほどの立派なステージ。ステージに立つとウェイティング・エリアのフィリピーナがメッチャこっちを見ていることに気が付いた。
恥ずかしい…
歌が始まった。何でだろ?思った以上に上手く歌えたのが自分でも驚いた。
「上手いジャン、あなた」
ライラも少し驚いていた。フィリピーナたちに見世物みたいに歌わされてステージを降りた。代わりにウェンデルがステージで歌を歌い始めた。
やっぱりバクラだけどウェンデルはいいよな。ダンサーで舞台慣れしてるからさ。
そう思いつつステージを見ていると隣でライラが持っていた扇子を広げて顔を隠しながらこちらを見ているのに気が付いた。
「ライラ。どうかした」
「ワラ!」
「『ワラ』って何?」
「『ない』の意味です。ホントになんでもない!」
明らかに何か有るやろ…。
「良いから教えてよ。あなたともう会うこともないから。ね。教えて」
「…………アナタの事好きになった…。」
「はぁ?」
そんなやり取りを知らずにウェンデルは
『You’re the only』
を楽しそうに歌っていた。
コメント
この記事には全然関係ないことでスミマセン。
土曜日はどうも有り難う御座いました。
また機会がありましたらゼヒ宜しくオニガイシマス。
bobbyさん、こんばんは。
コメント頂きありがとうございます。
久しぶりに楽しかったです。いろいろと僕にとって参考になる話が聞けて嬉しかったです。
また次回もよろしくお願いしますね。