歌姫アリスとケンカ ② そしてさよなら

アリスとのケンカした話の続きを一つ。

気乗りしないな…行きたくない…。

昨日お店行く前の僕の気持ちでした。しかし行くと約束した以上行かないと…。
多分彼女が気持ちを言うわけも無いだろうし、何も変わらないんだろうな…。

お店の扉を開けますとサンタの姿のフィリピーナ達がいて、派手にデコレーションされたお店、アリスが出て来て席に通されます。

ミニスカのサンタ姿のアリス。会うなり

「やだ!恥ずかしいっ!」

とビンタ。相変わらずやな…。最近気付いた事、というより気付くのが遅かった事。お互いの話をした事が余り無い。
アリスの本名もダバオのどこに住んでいるのかも詳しく聞いたこともお互いの家族がどうなのかもほとんど知らない。

この時点で彼女についた嘘が功を為さないだろうな…そう思いました。こんな下らない嘘なんか言うべきじゃ無かった。でも最後まで嘘として通そう。
会うことがほとんど出来なくなったとしても。

「アリス、ごめんね」

「何が?」

「もう少しで会えなくなるから」

「東京ダメ!」

「アナタの答えは?」

「まだ早い…」

やっぱりそうなんや…。彼女に何を期待していたのか…。期待していた答え、「好き」もしくは「嫌い」。それに関係する答えではありませんでした。

「多分、あと一回くらいしかアナタに会えないよ。ホントにごめん」

そう彼女に伝えた後に指名が重複していたので違うテーブルに移る彼女。
遠巻きに見るアリス。僕とは違う態度、大人しく接客しています。

どうやっても俺はやっぱりタダの客でしかないんや…

もうどうでもイイや…なんて思いながらボンヤリしているとショータイムがクリスマスという事で店内の照明が暗く落ちました。
出てきたのは衣装替えしたアリス。
セリーヌ・ディオンの曲を歌っていました。

アリス、アナタは本当に僕にとって好きで特別な女性であり、僕にとって歌姫です。

はじめて見る彼女のショータイムにそんな事を思っておりました。何で自分がここに居るのか解らなくなってきました。今までで一番面白くないフィリピンパブでした。一番面白くさせてないのも僕自身に原因があることにも腹立たしさを感じていました。

ショータイムで歌う女の子・踊る女の子に一人一人にチップをあげる中年の客。重複するアリスのお客さんでした。そのテーブルにはシャンパンが何本もあり、フードも沢山有りました。

そりゃ金持ちの方がイイわな。何でも与えてくれるし。

ホントに今すぐにこの場を去りたい。ホントに悔しくて情けなくて泣きたくて一人うつむいて時間を過ぎるのをただ待ちました。

彼女の望む事を何一つすら与える事も出来ない。

もう嫌だ。帰ろう。そう思いました。

「時間だよ」

とアリスに言われて店内を見るとアリスを指名したお客さんは帰っていませんでした。

「アリスと話出来るなら延長するよ」

と言って延長しました。延長の時間に入ってからしばらくの間、裏から出てきませんでした。ま、電話でもしてるんやろうな…大変やな…。
しばらくして戻ってきたアリスと話しようと思ってた時、アリスのいとこ達がアリスとデジカメでクリスマスの写真を撮り始めました。

キャーキャー騒ぐ中で蚊帳の外で見ている僕。しばらく見ていました。

いつ終わるんだ?
そんなの事、何で俺の時にする?
さっきの客の時そんな事しなかったやろが?

アナタと同じお店のベッキーも他のフィリピーナも俺をずっと放って置くことなんかした事無いのに…。俺は客以下か?

さすがに10分くらいそんな事続いてからアリスが不貞腐れている僕に気付きました。

「アナタ、怒ってる?」

「いいから写真好きなだけ撮ればいいやん、どうぞ」

「ごめんね。怒るダメ」

と言いながらも隣でデジカメで騒ぐいとこ達の様子が気になって仕方なさそうなアリス。

この時点でキレました。

「好きなだけ写真撮ればいいでしょ?俺帰るから。チェックするね」

「まだ時間沢山あるでしょ?何で?怒ってるの?」

「チェックするって言っとるやろが!はよ、伝票持って来いや!」

本気で声を荒げました。それにカチンと来たアリスもチェックしに行きました。横で見ていたアリスのいとこ達も

「何でもう帰る?」

「帰りたいんだ。ごめん」

黙ってお金を支払い店の外に出ました。

ドア越しにアリス、

「アナタ怒ってるの?」

「もういい」

「何で怒ってる?」

「あと少ししか会えないって言ったでしょ!」

「ワカッテル!」

言葉が互いに出てこなくなったから背を向けて帰ろうと思った時

「またね」

とのアリスの言葉。アリスの目を見て黙って横に首を振りました。

「もうない。さよなら」

最後に彼女に言った言葉です。黙ってドアが閉まりました。

帰り道、何でもっと余裕を持って彼女に接する事が出来なかったのか?怒った自分に反省しながら帰りました。帰り道、数日前に実は仲直りしたベッキーに電話しました。アリスとケンカした話をすると

「アナタ、頭固いな。だってクリスマスでしょ?怒るはダメだよ」

そうやった…。日本と違いフィリピンはクリスマスは特別なモノやったんや…。

反省しながら、しかも昔好きだったジョセルがつい最近来日して僕に言った言葉

「フィリピーナはお金ばかりだからね。気をつけなさい」

そしてフィリピンのディスコで知り合った若いフィリピーノの言葉、

「アドバイスしとくが、フィリピーナにはホントに気をつけろよ」

二つの言葉がグルグルと頭の中を回っていました。

恐らくアリスとの関係も終わってしまうのでしょう…。

コメント

  1. しみじみ 読みました 
    すごーーく 解かるところは すゴーク 解かります 
    初めに フィリピーナは お金ばかりじゃ ないですよ 確かに お金の為に 外国に 働きにきていて 鴨ろうと思えば いくらでも って 環境で・・・
    そればかりの 子も 確かに いますが そればかりでは 無いですよ~
    BALIWさん まだ 出会ってませんね! 
    ココロが イタク 苦しくなるぐらい 愛する事が 出来る 女性に ・・
    おそらく 自分の 気持ちは 相手に 伝わります 敏感な 彼女達にも Baliwさんの 気持ちは 伝わっているのだと 思います
    偉そうに 聞こえたら 御免なさいね
    奥さんと出会えた事は とても とても ラッキーです 出会う前に 何回か 行きましたが 面白くともなんとも無かったです
    大切な人 心が イタクなる女性と 出会うのは 必然でと 思います いつか わかりませんが・・・

  2. もっと 書いたのですが 長すぎると 駄目ナンなんですね~
    また 書きます
    一度 関係図 書いてください 絵で オニガイシマス

  3. NEOさん、こんばんは。
    コメント頂きありがとうございます。
    心が痛くなるほどの女性に出会ってないのかと言えば、出合ってないのかも知れません。居るのに気付いて無いだけかも知れません。
    ただ、このブログにも何度か紹介していますがライラというフィリピーナだけはホントに愛していたし、愛されていたと今でも思っています。
    どれだけ遠くに離れていても彼女は僕の為に泣いてくれたし、僕も彼女の為にないた事もあります。
    ちょっとした事で僕は彼女を失ってしまったのが悔やみきれない後悔ですが。
    気持ちは伝わるというのはいい言葉ですね。
    気持ちを全力で伝えたい女性に会えてない気がします。
    僕はそれまで待つことにしますよ。

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