誰も振り向かない夜 2

どうも、多くのフィリピンパブ第三世代のbaliwです。

 

なんか久しぶりにリンク貼って頂いてたトコに数年ぶりに行くと消されたトコ多いですね。
まあ、何年も本腰入れてた訳でもないからしょうがないっちゃあしょうがないすね。

 

別にフィリピンが嫌いになった訳でもなく、ただ離れなければいけなくなっただけなんですけどね。

 

その場に留まって居れたらそりゃいいですよ。

 

ま、そんな事を言っててもしょうがないので前回の続きを書いていこうかしら。

 

 

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一人の店員の男が僕らのテーブルを横切る度に結構な頻度で凝視してくる。

もちろん、シェリルも僕も気付いていた。

 

「あ、あのさ・・・」

「知ってる。知ってるの、前にタイプだって言われたの」

「ああ・・・」

 

気にもせず目の前の豚肉をレタスで巻いて食べる作業を彼女は止めない。

好きな女が夜な夜な違う男に抱かれる気持ちってどんなんだろうか。

 

しかも、自分より金が有る外国人だ。

少し店員の彼の気持ちになって考えてみた。

 

ビールがクソ不味い。

シェリルに目を向ける。

何考えてるのか解かったかのように目が有って声を出さずに笑ってる。

 

 

彼女は天使でも無く娼婦なんだ。

っていうよりもただの女なんだけどね。

 

誰と楽しく飯を食おうが彼女の勝手なんだ。

特にアンへレスに来てから女というものが解からなくなってきた。

 

流石にレタスを巻く彼女の手が止まった。

 

「テイクアウトしていい?友達に持ってってあげる」

 

当り前の事なんだけど、フィリピン人のそういうところが好きだ。

が、想いを馳せる店員の気持ちを他の店員も知っているんだろう。

なかなか声を掛けても持ち帰りの準備をしてくれない。

 

少しシェリルも困った顔をしている。

「クヤ!」

ハゲたオッサンの店員がうっかりシェリルと目が合ったのだ。

 

バツが悪そうにテーブルの前の食べ物を下げてくれた。

と同時に僕がお勘定のサインを出す。

ナイロン袋に包まれた料理と共に伝票が来る。

安いな、などと思いそっと500ペソを払う。

 

「お店、もう一回行ってイイ?」

 

僕にとってはその時の彼女は天使の様とまではいかないけど、

無垢に見える姿は誰かと重ねていた。

 

誰なんだろうね、アリスかな。

 

お釣りがくる170ペソ有る。

 

「ごめんな、『いつかの少年』よ。大人になるってこういうことだぜ。

確かに君の目の前にいる女の子は今夜間違いなく俺に抱かれるよ。

君が見た事無い場所も、君が触れた事無い場所も今夜は俺だけが、ね。」

 

そう思って100ペソだけを抜き取りポケットにしまう。

二人が席を立つ。

道路に面しているくすんだガラス張りの所で彼が何かを焼いている。

 

「Thank you,Sir」

「Thank you po」

 

彼の顔が見れなかった。

 

見たくもなかった。

 

僕はbaliwだけど、そこまで下衆じゃない。

 

 

(つづく)

誰か読んでるんか。
押してよ。

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